2012年1月15日日曜日

【KIEV-6S関連記事】千代田線北綾瀬支線に乗る

5000系電車のこの顔を久しぶりに見るのもうれしい

■東京地下鉄の「ローカル線」
東京地下鉄(東京メトロ)の列車に乗って「ローカル線の気分」を味わうことはなかなかできない。とはいえ、そんなローカルムードのある路線を強いて挙げれば千代田線の綾瀬~北綾瀬間(通称北綾瀬支線)を挙げることができるだろう。なにしろ、都内では大変珍しくなってしまった電車が3両編成で一駅の間をのんびり往復しているのだから。おまけに、都市型ワンマン運転を行なっている。

12月のある日、子どもと列車に乗ることを目的に外出をすることになった。所用で都心に出たついでだったので、はてどうするかと考えて都電荒川線と日暮里・舎人ライナーに乗って舎人公園へ行くことを考えた。そのときに思い出したのが北綾瀬支線のこと。

私が以前乗ったのだって考えたらもう20年くらい前のことだし、いま走っている電車は6000系電車の試作車か東西線で活躍していた5000系電車アルミ車などという「レアもの」だ。どちらが走っていても珍しいのだし、行ってみようかな、と。

■KIEV-6Sを使いたくなった
この日持っていたカメラはひさしく使っていなかったソビエト製ブローニー一眼レフKIEV-6S。レンズは標準レンズのMC ARSAT-C 2.8/80だ。ソビエト時代はMC VOLNA-3という名前だったものが、ウクライナ独立後の製品はMC ARSATになった。名前とデザインが変わっただけで光学系は同じだ。

療養中に「KIEVを使いたいなあ」という思いを膨らませていたので、思い立って持ち出した。子ども相手の手軽なお出かけだから標準レンズ一本で十分だろう。プチ自慢をすれば私のKIEV-6SはファインダースクリーンをブロニカSQ-Aiのものに交換してあるので、ファインダーの中は冬の光が満ちあふれていて大変明るい。子どもをときどき立たせて写してみる。ピント合わせという行為も楽しい。

こういうカットで内面反射してしまうのが困るなあ

ただし、久しぶりのフルマニュアル機では自分の視神経と動体視力が衰えているので、千代田線のそばを時速100キロ以上で飛ばしていく常磐線快速列車を撮るのだけはうまく追えなかった。子どもに「じょうばんせんのでんしゃをとって」と頼まれたのに。 

■千代田線はおもしろいかも
北綾瀬まで行き、降りて綾瀬車両基地が見わたせる跨線橋へ行った。15000系電車と6000系電車がいて、小田急4000系電車も並んでいる。JR203系電車の引退には間に合わなかったとはいえ、千代田線はいまも車種が豊富で趣味的にはおもしろいなあ、などと考えた。 

もっとも、鉄道撮影が主目的ではないので日向で昼寝するネコに声をかけて、千代田線沿線散歩は終了した。北綾瀬駅でスカイツリーと入線してくる列車を一緒に写してから、折り返す綾瀬行き列車の運転席直後に乗り込む。高架線をのろのろ走る様子がなんともいい。しかも、この5000系電車はおそらくは抵抗制御のままなのではないか。秩父鉄道を走る元都営三田線6000系電車(秩父5000系電車)を彷彿させる走行音がする。

■スクエアフォーマットのモノクローム写真は写真作家みたい
モノクロームフィルムをつめたスクエアフォーマットのカメラで鉄道を撮ると非常に作家的な気分になるのだと、現像してみて気づいた。35ミリフルサイズやAPS-Cサイズフォーマットのデジタル一眼レフのように戦闘的には撮れない。装備自体が大柄であることと、ゆっくりと確実にフィルムの巻き上げをいちまいいちまい行う必要があるから、「連続撮影」も不可能だ。12枚撮りのフィルムをじっくりと考えながら撮るからか。

けれど久しぶりに使うと頭の体操になる。MC ARSAT 80mm F2.8は精密な描写で、プラナーのような滑らかさとはことなる描写だ。これも、もしかしたら無機質な鉄道を撮るにはいいのかも。

右の木立の隣に東京スカイツリーが見える

ただ、レンズフードを装着しカメラ内部に自分で植毛紙を追加するなどの逆光対策はしていても残念ながら逆光には弱い。これだけは気をつけないといけないね。できればハレ切りを行うか、そうではないならばむしろフレアを積極的に利用するつもりで撮りたい。

 【撮影データ】
KIEV-6S・MC ARSAT-C 2.8/80・F8~11・1/250~1/500sec.・ILFORD XP2 SUPER