2012年8月17日金曜日

【小湊鐵道ついで鉄記事 その1】「昭和過ぎる」小湊鐵道。五井にて


■フリー切符を買ってお盆の房総半島へ
夏らしい暑さが続きながらも、朝晩には秋の気配が感じられるようになってきた。海水浴もお盆過ぎにはシーズンオフになってしまう。

先日、房総半島に子どもと二人で出かけてきた。海水浴をしたことのない子どもと泳ぎに行くのが目的なので、鉄道を線路際で本格的に撮る旅ではない。

とはいえ、この思いつきのきっかけはブログ「mitsuka115JNRの語るひととき」を書いていらっしゃるmippyonさんの記事のおかげで、千葉県内のJR各線および小湊鐵道、いすみ鉄道、銚子電鉄に一日乗り降り自由で、特急券を買えば特急にも乗れる「パワフル×スマイルちばフリーパス」というフリー切符の存在を知ったから。もちろん鉄道趣味とまったく無関係でもない。


■鉄道撮影目的ではないはずでも動機が不純
なにしろ、「子連れついで鉄」とはいえ、あわよくばひさしぶりに小湊鐵道やいすみ鉄道にも乗りたいと思ったていたし、113系電車なき後の「暴走ルンです209系電車王国」であるいまの外房・内房線も見てみたいと思っていたから。

そこでまず、五井に早めに宿をとり、我が子と私の気分と体力で行き先を決めるいい加減な旅をすることにした。 海水浴の荷物があるので、カメラは最小限に抑えてNikon D2Xボディに、マニュアルフォーカスニッコールレンズのAI Nikkor 28mm f/2.8S、AI Nikkor 50mm F1.8S、Ai改造がなされたNikkor-Auto Q135ミリF2.8を選択した。いずれも高倍率ズームレンズよりもずっとサイズが小さいのに、だんぜん高画質なのが痛快な選択肢だ。

■列車にいいかげんに乗って御宿で下車
出発した日は雨であり子どもも寝坊したので、市川で切符を買ってから蘇我まで行き、自由席特急券を追加して特急に乗り換え、鴨川シーワールドを目指した……けど、だんだん空が晴れてきたので御宿で急遽下車して、海岸に行った。

海岸に出て私たちは黙り込んだ。会話なんて不要だ。でも、赤ん坊のころに見て以来、機会がなくて海を見たことがなかった子どもが呟いたひとことが忘れられない。たぶん、この瞬間は私は一生忘れないと思う。小さな声で「うみがこんなにきれいだとはおもわなかった……」とはつぶやいて黙り込んでしまったのだ。 


■鉄ヲタの夏の夜の夢
さて、この日は御宿でさんざん遊んでから五井に行った。高滝の花火大会にもできれば連れて行きたかったけど、列車に間に合わなかった。だから、外房線で蘇我まで戻ってから内房線に乗り換えて五井まで戻ってきて、駅と周辺の様子を見ていた。それだけでも十分楽しめてしまうのが、小湊鐵道のいいところなのかもしれない。


ホームには高滝の花火大会関連で走る臨時の里見行きが堂々たる4両編成として出発を待っている。あのDMH17Cエンジンが奏でるアイドリング音の四重奏だから迫力もある。平成になったころは地方の非電化路線に行けば珍しくもなかったのに、JR東日本では在来気動車を置き換えを進め、残った国鉄形ディーゼルカーの機関も交換してしまっているのはみなさんご存知のとおり。日本全国のを見ても、非電化路線も減少し軽快気動車に置き換えがどんどんと進んでいるから、戦前に設計されたDMH17Cエンジンを響かせて気動車が発車準備をするというのは、いまや貴重な光景だ。


小湊鐵道側の側線には、木造の無蓋貨車が1両ぽつねんと置かれていた。すでにRM編集長ブログで目にしていたけど、実際に目にするとなんだかシュールな光景にも見える。子どもは木造の単車などははじめて目にしたのではないか。『きかんしゃトーマス』(『きしゃのえほん』)に出てくる、下り勾配では「押せ押せ押せ」と機関車を押しやったり、連結器の音でがちゃがちゃ騒いで機関車を怒らせる「いたずら貨車」は、ああいう貨車なんだよと子どもと笑う。


小湊鐵道本社に沿って歩いてみる。機関庫のアイツが見えないかな……いたいた。元電車であるキハ5800を発見。旧型電車好きにはたまらない。

この夜は駅近くで地元町内会の盆踊りが行われていた。キハ5800を見ているとずっと炭鉱節や大東京音頭が聞こえていた。この後はその小さなお祭りを見て焼きそばとかき氷を食べ、我が子と盆踊りを踊った。なんだか夏の夜の夢のように一日が過ぎていく。

【撮影データ】
Nikon D2X/AI Nikkor 28mm f/2.8S, AI Nikkor 50mm F1.8S, Nikkor-Q Auto 135mm F2.8/RAW