2012年10月31日水曜日

【秩父鉄道1000系1980年代】チョコバナナの時代、続編

元101系1000番台である1006編成の唯一の写真
先日、1987年から1998年ごろの秩父鉄道への国鉄101系(JR東日本101系)導入と、塗装変更の頃のポジをここにアップした。そのときのポジはエクタクローム100とフジクローム50だった。

よく考えたら、フジクロームで撮った日には「それ以外のカット」もあるはずだ。そう思ってポジをしまってある木箱を見ていたら、カメラにフジクロームを詰める前にコダクローム64を詰めていたことが発覚した。なにしろ25年も前のことだから、記憶がいい加減だ。今日はそのコダクロームをスキャンしてみた。

コダクロームというのは、私が本格的に使うことができた頃にはすでに熱狂的で保守的な写真家(特に鉄道系)の人たちが主に使うフィルムになっていて、ふつうはすでに内式リバーサルフィルム(もうこの区分も死語だ)を使う時代だったし、そのあと出版の世界に携わったころにはデジタル化が進みつつあったから、撮るにも伸ばすにも印刷するにも扱いにくいフィルムだったという印象しかない。何度も校正をとらないといい色にならなかったから、印刷の現場でも職人さん的なベテランではないとうまく分解できないフィルムだったのではないか。

背伸びをしてみたかった少年の私はときおりコダクローム64(それも、ほとんどはプロ用ではない。わずかに安いアマチュア用を主に買っていた)を使ってみて、エマルジョンがよくないと緑被りするシブい発色と、ラチチュードの狭さに閉口したものだ。それでも、あたりの無補正エマルジョンを手に入れて、適正露出だとなんというか、コントラストが強いぶん立体感があり、ほかの内式フィルムのわざとらしい派手さよりも好ましく思えるようになり、すっかりコダクローム教の一信者になっていた。

そして、撮影から25年経って改めて見ると退色しないことはやはり驚異的だ。スキャン時の補正がしにくいためにお見せする画像は決して美しくはないが、原板の色味は変わらない。1988年当時、秩父鉄道にやって来たばかりの1000系電車は国鉄の線路をすでに20年以上走った電車だったけど、きれいに塗装されていてまだピカピカだった。そのころの雰囲気をよく伝えてくれていることに驚く。

そういえば、後の白地に青い線の塗装になってから最古参の1006編成を写せなかったが、今日初めて、秩父鉄道への導入直後にきちんと写せていることを知ってうれしい。テールライトが埋め込み式で、武蔵野線用1000番台に改造された初期型であり、モハ90の型番で登場した編成だ。

それにしても、エマルジョンナンバーを確かめてコダクロームを買うということをしていたころの、新宿西口ヨドバシカメラのフィルム売り場の広さが懐かしい。いまやフィルム売り場なんてどこの店でも冗談みたいなスペースしかないものね。