2013年8月13日火曜日

【Nikon1関連記事】Nikon1を試す(その1)

F4.5まで絞っているので中心部のピントはなかなかのもの。
四隅は流れる。RAWで撮って周辺光量を多少落とした

■気分一新したくてNikon1 V1を手に入れた
この夏は写真趣味活動は残念ながら低調だ。あまり体調が思わしくないので、こればかりは仕方ない。気長に待つことにするほかない。

そんななか、自分の気持ちに渇を入れるべく、あるいは、ありあまる好奇心を満たすべく、新たな機材を導入した。ニコンのミラーレスカメラである「Nikon 1 V1薄型レンズキット黒」だ。

ここまで書くだけで、カメラにくわしいお仲間のみなさんが「え!」という戸惑ったような顔をするのが見えるような気がする。

■2011年発売のNikon 1 V1を2013年に入手したわけ
正直にいえば、Nikon 1シリーズにはあまり関心はなかった。ミラーレスカメラならオリンパスペンEPシリーズが好きだし、使いたいレンズもいくつかある。パナソニックのLUMIXシリーズはレンズに興味があった。センサーサイズやデザインならAPS-Cサイズセンサーを備えたソニーNEX-5シリーズが好きだ。

直近ではキヤノンEOS Mのベイブルーがかわいいと思っていた。Nikon 1シリーズが眼中になかったのは、センサーが小さいし値段が高いから。それなのにV1を選んだのは、V2が出て大幅値下げされたことと、既存のソフトやバッテリーが共通化できることにつきる。だから「手ごろな価格になったからまあいいか」というノリだ。

思えば、ある意味では究極の選択だったかもしれない。EOS Mは高感度の画質は最高にいいけど、動作がもたつく。いっぽうのNikon 1 V1はAFの挙動や動作の感触が素早いものの、高感度耐性が低い。それでもV1を選んだのは価格だけが理由なのではなく、自分がトロいぶんカメラには素早く動いてほしいからだ。

V1は本体ではレンズゆがみ補正は行わない。
これはゆがみ補正前。輪郭強調は1段減

■ここが残念
Nikon 1 V1はもうディスコンになったカメラだからいまさら指摘するのはおかしいけど、操作系に首をかしげざるを得ないところがあるとか、画質がノイジーでコンパクトデジタルカメラレベルであるとか、デザインが微妙などと批判されていたのはみなさんご承知のとおり。確かに操作系には大いに首をかしげるところがあるが、さいわいV2でそこは改善されている。私としては、マニュアルフォーカスを選ばないと電子ビューファインダーでも背面モニターでも拡大表示ができないことと、カメラ内RAW現像ができないのは残念だ。

■バッテリーとメディア、RAW現像ソフトを一眼レフと共用できるメリットは大きい
いっぽう、私はV1のデザインはシンプルで好きだ。私にはV2は一眼レフを意識しすぎているように思える。いっぽうV1は電池がD7000と共通なのは便利だし、RAW現像ソフトが同じというのもいい。工夫すれば一眼レフと同じクオリティの絵にできるかもしれないと思うからだ。Capture NX2に使い慣れているからね。

動作は評判通りにわりと軽快だ。シャッタータイムラグはあるものの、それでもサクサク撮れる印象だ。オートフォーカスはけっこう優秀だし、フォーカスポイントの切り替えもしやすい。電子ビューファインダーも見やすい。あれほど嫌っていたのに電子ビューファインダーばかりを使うほどだ。晴天の日中光の下では背面液晶は見づらいことがある。エレクトリックシャッターでの無音での連写も、たまに使うと便利だ。

肝心の画質については、まだまだ試しているところ。最初の印象は「ディスコンの製品だからやむを得ないとはいえ、厳しくいえばコンパクトデジタルカメラのレベル」だった。28ミリ相当の10ミリレンズでは近接してもまりボケないし、なんだか線が太く、前評判の通りノイジーだと思っていた。

ところが、RAW現像時にピクチャーコントロールの輪郭強調のレベルを下げてみたら、じつは被写界深度は思っているより浅く、輪郭強調でかなりくっきり見せていることがわかった。これは私にはうれしい。被写体の前後の緩やかなぼけが立体感を強調してくれるからだ。そこで、カスタムピクチャーコントロールを作り、輪郭強調のゲージを下げた。この設定でもうしばらく試してみようと思う。

古い1型センサー機なので、昨年から流行り始めたAPS-Cサイズや35ミリフルサイズの高級コンパクトデジタルカメラにはかなわなくても、そこそこ立体感が表現できて、コンパクトデジタルカメラのように輪郭強調が強すぎないのならばありがたい。いまは絵作りのそういうセッティングを見つける最中だ。【続く】