2014年1月7日火曜日

【ニコンカメラ話】Nikon D2Xいまだ現役


【おことわり】
令和5年(2023年)8月現在、筆者はすでにD2Xは使用しておりません。ご注意ください。本記事は平成が終わり令和の時代になってもたいへん多くの方に読んでいただいています。たいへんありがたいのですが、上記はご了承くださいませ。2014年から2015年の本稿執筆時の記録として残しておきます。また、D2Xで撮影した写真を解説しているkindle電子書籍は好評発売中です。kindle unlimitedにも対応しておりますので、ぜひご一読くださいませ。

■Nikon D2Xのこと
2014年冬は久しぶりに「本務機」であるNikon D2Xをじっくりと使っている。2005年の12月末に入手して以来使い続けた、もう数世代前のデジタル一眼レフだ。

パソコンは2年で一世代更新するので、いまやその周辺機器のひとつであるデジタルカメラもそれに歩調を合わせて2年ごとにモデルチェンジしていく。各社の一桁の数を銘するフラッグシップ機は4年でモデルチェンジするといっていい。

それをすべて買い揃えていこうとするならばじつに困ったことだと思う。けれど、こればかりは仕方がない。半導体の進歩はとくに4年もあればかなりの進化があるだろう。

AI AF Nikkor ED 300mm F4S(IF)

■2014年のいまになるとデジタル部の性能はアレではある
D2Xを例にとれば、約1,240万画素という画素数は2014年のいまやエントリー機以下の画素数だし、約5コマ/秒という連続撮影速度もミドルクラス以下だ。

背面モニターのサイズは比較的大きめだけど、約23万ドットと約92万ドットから約100万ドット以上が主流のいまとなっては、視認性はまったくよくない。ピントが合っているのか拡大再生しても周囲が明るいとわからない。しかも、使用している個体には背面モニターの保護ガラス内部に汚れがある。

Ai AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D<NEW>

もちろんライブビュー機能もない。AF測距点の数も11点しかない。

デジタル部に至っては、ダイナミックレンジが狭く、シャドーからディープシャドーへのつながりがいまひとつで、急激にディープシャドーへ落ち込んでしまう印象がある。高感度耐性も低くてISO400以上は正直にいうとあまり用いたくない。ISO640を越えると緊急用だ。

2014年のいまとなっては、エントリー機のほうが後処理をせずに撮りっぱなしでもすむ絵を吐き出すだろう。もっとも、業務用途ではD2X発売当時もいまでも撮りっぱなしということはありえないのだが。

さらに、オートホワイトバランスも当時は優れていると評されていたけど、いまとなっては古くさく、ヒット率がやや低い。

日中の明るい場所では背面モニターはほぼ見えませぬ


操作やグリップのしやすさはいまでもバッチリ


上面のステータスLCDのサイズも大きいし

■カメラ部のよさは捨てがたい
ただし、それでも使い続けたくなるような利点がフラッグシップ機はたくさんある。まずありがたいことに、カメラ部の作りのよさがその後のミドルクラス機に劣らない。むしろ、ずっとしっかりしている。

そして、フラッグシップ機にはカタログスペックに現れないよさがある。そういう細部の作り込みが価格に転嫁されているのだろう。ファインダー倍率約0.86倍はかろうじてマニュアルフォーカスを使えるし、視認性は悪くない。オートフォーカス(AF)も現行ミドルクラス以上の食いつきと正確さを誇る。搭載しているマルチCAM2000オートフォーカスモジュールは検出範囲がEV-1~+19 (右端、左端の2点はEV0~+19)だが、動体撮影時に逆光や暗所でもオートフォーカスが信頼できる。グリップもしやすく、望遠レンズと組み合わせたときのバランスもいい。

上記とシャッターバランサーの機能やボディ全体の剛性の高さから、じつにぶれにくい、もしくは、不用意にぶらしにくいカメラに仕上がっていることは見逃せない。これは、自分がミドルクラスのD7000を使うようになってつくづくわかったところ。

このレンズも何度もメンテナンス済み

世の中には残念ながら「ぶらしやすいカメラ」というものが存在する。

先日、話題になっていた35mmフルサイズミラーレスカメラの新製品を店頭で触ってみてひどく失望させられた。2023年11月になって書くけれどソニーα7とα7R初代のことね。正直にいえば剛性が足りない感じで、強く握るとボディやバッテリーグリップがきしんでしまい、安定して構えにくかった。

しかも、自慢の大口径レンズとマウントアダプターのセットで展示してあったボディは、しっかり握ろうとするとうまくできない。アダプターの接合部の遊びも手伝って、構えるとどこかが動いてしまう。つまり、しっかりとグリップしてもぶらしやすいカメラだった。メーカーから派遣されている販売員の方に思わず「これはしっかり構えられない、ぶらしやすいカメラに思えます」と、よけいなひとことをもらしてしまった。

ぶらしやすいカメラで写真を撮るのはよけいなテクニックを必要とする。手ぶれ補正機構があればいい、というわけにもいかない。ぶらしにくいカメラであれば手ぶれ補正機構に頼る度合いがずっと減る。フラッグシップ機でなくともぶれにくいしっかりしたカメラがもっと増えればいいのに。

古いレンズだけどけっこうイケるんだぜ

■そんなわけでD2Xが手放せない
だから、いまさらながらD2Xがこうして再び手放せなくなってしまったというわけ。慣れ親しんだせいもあるけど、暗くて天気が悪いような撮影条件が悪いときでも、私にとってはD2Xであれば確実に決めることができるし、ビシッと決まるといい絵を出すのだもの。

D7000のほうが大きさも手ごろでずっと万能なカメラだ。だが、悪条件での撮影では少し心配になる。ほんとうにちゃんとピントは合っていたのか*、ブレていないか、などと写真術で基礎的な部分に注意を要求されるのはけっこう気持ち的にはこたえるのだ。マルチCAM 4800DXオートフォーカスセンサーモジュールの検出範囲はEV-1~EV+19と数値上はD2Xと同じなのだけど、精度はそう高くないように思えてならない。

D7000はD2Xよりもダイナミックレンジは広いようで、輝度差が大きい撮影や高感度では助けられているし、焦点距離の短めのレンズ使うにはいいのだが。

そういうわけで、望遠レンズを使う場合や画面内に高輝度すぎるハイエストライトが存在しない場合、つまり太陽を直接画面内に入れない場合には、私はためらうことなくD2Xを選ぶ。そうはいいながら太陽を画面に入れても撮っているけどね。そして、夜な夜なパソコンの前でRAW現像に悩むことにはなる。ただ、趣味の写真にはもちろん、扱いが小さく納品点数が少ない業務用途ならばまあいいのさ。

でも、どなたかが私めにD4とAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR IIをくださるなら、よろこんで代替いたしますよ。メンテナンスを考えるとD2Xをいつまでも使い続けるわけにはいかないので。

*1:D7000のAFに限らないけど、もしかしたら1,200万画素を越えると位相差AFの精度ではもうあやしいのかも。私は光学ファインダーが好きだけど、1,600万画素あたりからいろいろな機種で位相差AFがうんぬん、といわれているし。一眼レフのライブビューのコントラストAFがもう少し使いやすくなれば。

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