2014年2月28日金曜日

【ニコ爺デジタルカメラ関連チラ裏話】新RAW現像ソフト「Capture NX-D(β版)」のこと


ニコンのフラッグシップデジタル一眼レフがD4Sにモデルチェンジすることが発表された。センサーが新しくなりAF性能も向上したという。さらに肌色の再現性が向上したとか。先のソチオリンピックでも恐らく活躍したのだろう。それにしても、フラッグシップ機が2年でモデルチェンジするとは、いかにもデジタル時代らしい。

私が興味を持ったのは、同時に発表されたRAW現像ソフトのほうだ。「Capture NX-D」(以下、NX-Dと略)として新しいソフトのベータ版の公開がなされ、今後は無償提供となるという。そして、現行の「Capture NX2(以下、NX2と略)はこの新しいソフトが正式提供されたら、サポートは終了するというのだ。




NX-DでNEF画像を展開してみると……
私にはNX2は欠かせないソフトなので、これは多いに問題だ。2本も買ったのに、などと言いたくなるのはこらえるとして(書いちゃった)。サポートが今後なされないならやむを得ない。問題はその新しいソフトの使い勝手だ。

NX-DのADL変更設定
公式な情報開示ではないのだが、Web上であれこれ見ていると、どうやらNX2に技術供与していたNik SoftwareがGoogleに買収されたためなのか、ニコンはサポートを受けられなくなったのではないかと言われている。

NX-Dの高感度NR設定
そしてWeb上であちこち見ていると、新しいソフトはどうやら、市川ソフトラボラトリーの「SILKYPIX Developer Studio Pro6(以下、SILKYPIXと略)」がベースなのではと推測されている(そう公式発表されているわけではないので、もし間違っていてもあしからず)。絵づくりもSILKYPIX 6のエンジンになるのかどうかはわからない。私自身も両者の現像結果を比べてはいない。というのは、SILKYPIX 6のMac版はまだ用意されていないから。ただしペンタックス(エンジンのみ)やパナソニック(簡易版としてバンドル)の一眼レフ・レンズ交換式カメラ用のRAW現像ソフトはSILKYPIXなので、カメラメーカーがSILKYPIXを採用することは珍しいことでもない。

ADLの設定変更はわりとよく使う
私の林檎メインマシンのほうは、PowerPC用ソフト(具体的にはフィルムスキャナ用ドライバであるNikon Scan 4)を動かせるようにいまだにSnow Leopardなので、こちらはNX2を使わざるをえない。とはいえ、今後のバージョンアップに対しサポート外になるとすでに表明されているから、頃合いを見てメインマシンもOSのアップデートする必要はある。

自動レタッチブラシはセンサーダスト除去に欠かせないのです
NX-Dを早速ダウンロードしてみると、なるほど……インターフェイスがかなり異なる。NX2の特徴だった、Nik Softwareの特許である「U pointテクノロジー」と呼ばれるスライダーを動かすことによる「コントロールポイント」操作はできなくなった。部分選択などの作業を私はNX2上であまり行ってはこなかったけど、多用していたユーザーは面食らうだろう。私自身も、最近はAdobe Photoshopの動作の重さが気になり(マシンが非力なのだけど)、Photoshopになるべく移行しないで作業するようにしていたので、NX-D側でできる作業が少ないのは新たなワークフロー(大げさ)を身に着ける必要がある。

NX2のカラーノイズと輝度ノイズの調整設定

私がいちばん戸惑ったのは、アクティブD-ライティング(以下、ADLと略)が折りたたまれて階層の奥にあり、なかなか見つけられなかったうえに、露出補正の項目にまとめられていて後からその効き方を変更できないことと、高感度ノイズリダクション(以下、NRと略)の「高画質2013」が見当たらないこと。実はNX2は昨年のアップデートで、ようやくカラーノイズと輝度ノイズを個別に操作することができるようになったばかりだ。

あと、自動レタッチブラシはどこ? 広角気味で絞ってときにはカメラ側にダストリダクションがあっても必要なのだ。このためにAdobe Photoshopを起動させるなら、Adobe Camera Rawで現像するほうが手っ取り早い気もする(ニコンのカラーではなくなるが)。

カラーコントロールポイントの「輝度」で空の明るさを部分的に変更
現状ではNX-Dはベータ版であるとはいえ、これではSILKYPIXの機能限定版という感じで、正直言えばこれならばむしろ有償の「フル版のSILKYPIX」を使うほうが私はいい。デジタルシフトや「フィムル調」のカラーモードも選べるから。権利の問題があるのでもはやNX2の継続が難しいならU Pointテクノロジーが使えないことはやむをえない。それを割り引いてもNX-Dはいまのままでは使い勝手はいまひとつだ。ちゃんとしたソフトなら有償でも(仕方ないけど!)買うというユーザーはいるはずだ。

現状ではベータ版として公開され、ユーザーニーズに応じた改良がなされるとしている。どこまでユーザーの意見が反映されるのだろうか。しばらくようすをうかがいながら悩むことになりそうだ。自動レタッチブラシとADLの問題が解消されないならAdobe LightRoomかAdobe PhotoshopのCamera Rawで現像しようか、という選択肢も含めて考えたい。

といいますか、しっかりしたものを頼みますようニコンさん!