2012年3月11日日曜日

【2012年3月JRE185系PETIT撮影記事】「国鉄特急色」に翻弄される朝

特急列車を待避する各駅停車がやってきた

■朝の高崎線特急『あかぎ』号を撮りに
プラットホームに通過列車の案内放送が流れてまもなく、遠くのカーブを曲がってくる列車のヘッドライトが見えた。来たぞ、185系上り特急「あかぎ」4号!

霜取り用のパンタグラフがある編成も高崎線を走るのね
■リバイバルカラーの特急が走ると知った
私はそのころ、高崎線沿線のとある病院(本項では「ダーチャ」(ロシア語「別荘」)と記す)で療養生活を送っていた。寝床でぼんやりしながら携帯で退屈しのぎにひとさまのブログを見ていたら、いつもお世話になっているTakaさんが185系電車OM03および08編成という「なんちゃって国鉄特急色(日光型)」塗装と「なんちゃって湘南色」塗装の組み合わせを撮影されたというエントリーを見つけた。

ハハハ、特急と急行の混結みたいだな。

思わず笑みを漏らしてから気づいた。いやまてよ。もし、こいつらが翌朝の上り『あかぎ』4号で運用されるのならば、熊谷出発が8時44分で桶川着が8時59分だったか。つまり、ダーチャのある駅を8時52~3分くらいに通過するはず。

ダーチャの出入口の解錠時間は7時からで、朝食は7時半。8時半すぎから9時半までは「メドシストラー」(ナース)たちは申し送り中で来ないし、日曜日はドクトルも来ない。しかもリハビリ室も開いていないから暇だ。そう、日曜日のダーチャは暇なのだ。病状が深刻ではないからお見舞いの予定もない。そして、滞在中の我がダーチャから高崎線の線路まで5分程度、駅まで10分程度の距離に位置する。間に合うじゃないか。こりゃもう、朝から「散歩」するほかないでしょう。幸い調子も落ち着いたし、「駅までの外出」をドクトルにも認められている。そう考えて早起きをした。6時過ぎに採血のためにいちど起こされるので、それから準備をした。そうして朝食をとってからいざ出発だ!

■D2XとAI Nikkor ED 180mm F2.8Sを持って
D2XにAI Nikkor ED 180mm F2.8Sをつけた。さらに、コンパクトデジタルカメラのキヤノンIXY Digital 2000 ISとAI Nikkor 50mm F1.8Sをポケットに入れて外に出た。薄日が差すものの肌寒い。でも、上り列車を撮るなら順光だ。

そんなわけでダーチャからまず、まっすぐ線路に向かう。すると線路にたどり着く100メートル手前、踏切まではあと200メートルのところで、目の前をいきなり大宮の183系電車らしき国鉄塗装色の電車が横切った。

ななななな! なにそれえ! DJ誌も買っていないからノーチェックの列車がいきなり国鉄特急色! カメラもあるのに。あと5分早くダーチャを出たらバッチリ撮れたのに。なはあ。気持ちのなかでは膝から崩れ落ちた。

とはいえ、知らなかったものは仕方ない。幸い趣味の撮影だから、撮り逃しても困りはしない。デスクに怒鳴られたりしないし。ただ悔しいだけだ。立ち直りの早さが私の取り柄だ。

やってきた『あかぎ』号はあれれ……白い
■プラットホームで駅撮り
撮影場所を選ぶ時間はない。吹上~北鴻巣のカーブや桶川~北本の公園沿いが素敵だけど、そんなに時間を用意はできないから、駅構内か駅近くの踏切にするか考え、駅ホーム端に誰もいないのを見て駅に入る。上り2番線ホーム端に立った。同業者なし。

そういい場所でもないのは事前にわかっていた。障害検知のセンサーがあるから望遠レンズかいっそ広角側で流し撮りするほかない。迷って望遠レンズを着ける。広角側で撮るほうが少しは側面を撮れるけれど、ズームレンズは持ってきていない。

さらにコンパクトデジタルカメラで「ついで動画」を撮るべく支度した。三脚もないから使わない標準レンズを地面に置いてコンデジを乗せて、ストラップで手すりに結びつけた。

程なくして特急列車を待避する各駅停車がやって来た。ポイントをゆっくり身をくねらせるようにして211系電車が2番線に入線した。よく見ると、下り方の付属編成の高崎側正面がダブルパンタのクモハだ。霜取り用のパンタグラフが先頭にあるやつだ。無知をさらしますが、高崎線にも走っているのをはじめて見たぜ。もっとも、房総や両毛線運用みたいに先頭のパンタグラフは上げていない。チョンマゲみたいに先頭のパンタグラフを上げて走る様子が見たかったけれど、高崎線でダブルパンタのクモハが見られただけラッキーかも。房総の211系も見たかったんだけどなあ。中井精也さんが「モノサク」で流し撮りした写真を見てなんだか気に入っていたのだ。

フムフムと感心していて遅まきながら気づいた。2番線に電車がいたら、望遠レンズでは1番線を通過する『あかぎ』を後追いでは撮れない。なにしろ、名レンズとはいえ単焦点のAI Nikkor ED 180mm F2.8Sだから。270mm相当になるのですよ。

前日の編成はその日のうちに新前橋で解かれていたか

■『あかぎ』号が現れた……あれ
「♪ピロリロリロリーン。まもなく、1番線を列車が通過します。危ないですから黄色い線の内側まで下がってお待ちください……」

やや、来るぞ来るぞ。IXYは録画を開始。D2Xを構えて遠くのカーブをじっと睨む。すると……あれ、あれれれれ白い……ああっ、後ろ半分は赤とクリーム! 来たなOM08編成! 湘南色+特急色ではないけど、後ろ半分は狙いの特急色だ。撮った! あれ、グリーン車の緑帯はないんだな。けれどファインダー越しに見た185系国鉄特急色はなかなか決まってる。湘南色よりも違和感がない。

うしろは国鉄特急色!

でもやっぱり、正面がちにしか撮れないこの場所より踏切で50ミリで撮ったほうが後ろ半分の国鉄特急色を目立たせることができたなあ。ハハハ、まあ仕方ないわ。ファインダーから目を離して最後尾の先頭車を見ながら考えた。



『あかぎ』通過のあと、数分して待避していた211系が出発した。せっかくだから後追いでダブルパンタのクモハを撮る。まあ、踏切にいたらダブルパンタのクモハに気づかなかっただろうし、動画も撮れなかったから、これはこれでいいや。

今日はこうして引き上げた。次の上り特急を待てば湘南色も来るだろうし、折り返し下りは高崎側にいる特急色が先頭に来るのだけど、ダーチャ生活者だから許可なく長居できない。それに、撮るなら深谷とか別の場所できちんと撮りたいから、今日はロケハンみたいなもんだ。なんせ、リハビリ鉄ですから。無理に深追いはしないのさ。

……しかし撮り逃した183系が悔しい。

【撮影データ】
Nikon D2X/AI Nikkor ED 180mm F2.8S/RAW