2017年8月25日金曜日

【Nikon D7200関連記事】手持ちレンズ での「AF微調整」


■使っているD7200の個体は後ピンになる
私はここ2年ほどD7200を使っている。ボディ内AF(カプラー駆動)のDタイプニッコールレンズを用いても、低照度でのAF性能(測距能力とAF駆動の速度)がD7000よりも向上していて、ファインダー撮影でもきちんとピントが合うところに満足してきた。

ところが、いま私物のD7200をAF以外の調整に出している。そして、代替機をお借りして使ってみたところ、ひどく驚かされた。手持ちのレンズのほとんどでファインダー撮影で後ピンになるのだ。AFの合焦マークが点灯していても再生してみるとピントが合っていない。

さらに先日、マニュアルフォーカスニッコールレンズをフォーカスエイドを頼りにしてファインダー撮影すると、ことごとく後ピンになる。AFニッコールレンズを試してみても、やはりあやしい。

ライブビューに切り替えると正確にピント合わせができるので、おそらくは……メインミラーとサブミラーの取付角度がほんのわずかにずれているのではないか。

工業製品だし、使用状況が異なれば個体差があるのはしかたがない。強調しておきたいのは、これはD7200すべてにあてはまるというわけではなく、私の所有するレンズとこの代替機との相性の問題だ。

■AF微調整を行った
とはいえ、借り物の代替機に機械的な調整を勝手にするわけにはいかない。返却時に指摘するつもり。ミラーの角度調整はできないわけではないが、ここでは説明したくない。メーカーに依頼することをおすすめしたい。

そこで、使用する私物のAFニッコールレンズの「AF微調整」を行って登録することにした。返却時にはカメラ設定全体はもちろん初期化する。このAF微調整とは、位相差AF(ファインダー撮影時のAF)でAF合焦位置を前ピンあるいは後ピンに設定してしまう方法だ。各レンズ個別に設定して登録できる。これについては、具体的にやり方を説明しているWebサイトがたくさんあるので、方法についてはそちらを参照してもらいたい。巻末に参照したページを記しておく。

簡単に説明しておくと、均一に光が回る明るい場所で、新聞紙などの黒と白のコントラストが高くてピント確認がしやすいものを、カメラと平行にセットする。最短撮影距離では球面収差の出方が変わるので、カメラとレンズはある程度距離を離す。また、白熱灯下も向かない。

そして、位相差AF(ファインダーAF)のAF-S(シングルサーボ)モードで一枚ずつピント合わせをしながら撮影する。そして、同条件でライブビューAFのAF-Sで撮影も行う。この両者を比較すると「位相差AFでは距離リングが示す値がやや前だ」などというように、そのレンズとボディの組み合わせで位相差AFのピント合わせの傾向がわかるので、それに応じて調整値をボディに記録する。使いたいレンス一本ずつ行う。

このAF微調整(キヤノンの言い方をすれば「AFマイクロアジャストメント」)の原理などがわからない方は、そちらを見ていただきたい。かつ、理解できない場合は手を触れないほうがいい。まずはメーカー公式Webサイトと内容がきちんとしているページを見てほしい。

なお、このボディ側の調整値でもピントのズレが収まらない場合は、メーカーに調整に出そう。極端にちがうものはれっきとした「故障」だ。キヤノンなどのレンズ側にAFモーターのあるレンズでは、レンズ側の調整値の書き換えなどで済む場合もある。ニコンのDレンズなどの、カプラー駆動のボディ内にAFモーターを持つレンズは、かつては調整できたようだが、現在は工場でも調整できないことがあるようだ。できる限りのことはしてもらえるようだが、業務ユーザー向けサポート窓口でそう聞いた。



■傾向がみな似ている
このAF微調整を行いながらおもしろいなあ、と思ったことがある。それは、このボディは筆者が使っているボディ内AFでカプラー駆動のDタイプニッコールレンズでは、どれでも後ピン傾向になる。そのことは予想通りだったものの、調整不要なレンズがいくつかあった。

そのレンズとは、AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dと大昔のAI AF Nikkor 300mm F4 ED(IF)。どちらも、絞り開放から解像感がかなり高いレンズだ。そこでもしかして、と思った。以下は私の推測でしかないので、アレだけど。

■位相差AFはレンズ収差に惑わされることがあるのではないかという仮説
絞り開放時にハロ(被写体周囲を取り巻くフレア)が多い、球面収差の多めに生じるレンズは位相差AFでは誤測距しやすいのではないか、ということ。仮説だが。

おそらく、ややミラー固定位置がずれていて、後ピン傾向のあるボディにはさらに絞り開放でのフレアが多めに残るレンズがダメ押しして誤測距しまうのではないか。そりゃそうだよな、位相差AFでは絞り開放でAF測距をするのだもの。原理的にはファインダースクリーンにあったスプリットイメージを電子化したようなものだ。

絞り開放での球面収差が少ない最新のGタイプニッコールレンズの大口径レンズが手元になく、それらで試すことができないこと、きちんとチャートや試験装置を作って試してはいないので、これらはもちろんあくまでも憶測だ。

それにしても、D5やD500のAF微調節の自動設定は便利そうだ。今後の機種はみんなああなってくれるといい。

AF50mmf/1.4Dは好きなレンズ

ふるいふるいAF300mmはよく写るなあ

【9月4日追記】調整から帰ってきた私物のD7200ボディはこのAF微調整をしないでもやはり済むから、ボディの個体差の問題だったみたい。使われてきた環境や経年変化の可能性もある。使ってるうちに振動などでミラーの固定位置が変わってしまうことはありえる。定期的に使っているカメラはメンテナンスに出すほうがいい、ということにつきる。

【AF微調整のさいに参照したページ】
(メーカーおよび販社公式ページ)
■製品に関するQ&A(ニコンイメージングジャパン)
デジタル一眼レフカメラの「AF 微調節」(オートフォーカスのピント位置を調節する)について
■EOS-1D X Mark III詳細ガイド(キヤノン)
AFマイクロアジャストメント

(媒体Webサイト)
■デジカメWatch(インプレス)
『特別企画 遠距離・近距離どちらにも強いAF微調整術を伝授 まさかの“ライブビュー試行錯誤”でここまでできた』(北村智史さんの記事)
■studio9(中原一雄さんの運営するWebサイト)
『自分で出来る! カメラのピントを微調整する方法。[AFマイクロアジャストメント]』