2017年9月9日土曜日

【チラシの裏】ためらわずにシャッターを切るということ


■写真展にある作品を見てあれこれ
とある集まりの写真展を見た。いわゆる「グループ展」であるそこにあったのは、千差万別ともいうべきさまざまな写真だ。そのなかで、目を引いたスナップショットの作品を見てふと考えた。


それは、海外で撮影された人物を撮影したスナップショットだった。たまたま人物にスポットライト的に光がさしていて、それがとても効果的に見えて強い印象を与える写真になっていた。

■興奮しただろうに
撮影者がそのスポットライト的な光線状態を見つけたときは、おそらく興奮しただろう。どこまでそれを予期していたかは知らない。もしかしたら、当初ねらっていたものよりもずっと手応えがあったのではないか。とにかく、その状況できちんと冷静にフレーミングを行ってタイミングを見てシャッターを切り、りっぱな作品に仕上げていたことに興味を持った。

なにかを撮るためにカメラを提げていてとつぜん、被写体の意図していなかったようすなり、思いがけないさまを目にして、いまこの瞬間は絵になる、いまこそ撮らねば! と思わされることはどんなひとにもあるはずだ。三脚を立てて被写体を待ち構えている場合にも、カメラを下げていてふと発見することもある。そのときに、ためらわずにシャッターを切ることができるかだろうか。

■いいと思ったら即レリーズ! できるかな
じっさい、フォトジェニックな状況を発見するなり、あるいは被写体をそういう状況に持って行くことはむずかしくはない。また、カメラを提げている時間が長いほど比例してそういう状況に遭遇できる確立も高まる。あたりまえだろう。それよりもむしろ大切なのは、「これだああ!」という瞬間をきちんと絵にできるかどうかだ。

というのも、撮影に慣れれば慣れるほどに、状況を見て予測を立てられるようになる。たとえば、列車や航空機撮影、あるいは風景撮影ならば、その予測をもとにして撮影地なり構図を決めるはずだ。また、人物撮影などでセッティングして撮影する場合にも、過去の経験から好みのセッティングにするべく、撮影地や撮影の時間、太陽と被写体との位置関係を設定する。そうしてまず「ねらいどおりに撮影すること」に慣れていけば、その際に生じた被写体の「予期していない変化」にも対応できるはずだ。

そのうえで、ねらった状況なり、あるいは予期しないフォトジェニックな状況になったときに、とっさにシャッターを切る勇気はどうすれば持てるのだろう。もちろん、これもまた経験が増えれば可能になるということはじゅうぶんわかっているけれど。


■まだまだやるべきことはある
まだ見ぬフォトジェニックなシーンを探しているのは、私もふくめ、写真を撮るのが好きなすべてひとみなそうであるはず。そして、撮影に行く回数に応じてそんなフォトジェニックなシーンに遭遇できるはず。それなのに、近ごろの自分にはその「シャッターを切る勇気」が失せて、そもそも撮影に行く回数さえ減っている気がしていた。ためらいというよりもむしろ……怠惰なのだろう。どうやら、「夏休みの課題」を終えてたるみがちな自分にゲキを飛ばす必要があるみたい。そんなことを思わされた。

【撮影データ】
Nikon D7200/AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>/RAW/Adobe Photoshop CC