2017年12月30日土曜日

【東武鬼怒川線撮影記事】走れSL「大樹」! 夜の転車台にて


■夜汽車を撮るために
先日の東武鬼怒川線SL「大樹」撮影行の続きだ。上りSL「大樹」4号を砥川橋梁で撮ったのは15時ころだった。冬至すぎとはいえまだ明るい時間だ。いっぽう、SL「大樹」はさらにもう一往復する。下今市発16:32、鬼怒川温泉着17:08で、鬼怒川温泉発18:09、下今市着18:43ということは、冬至すぎのいまの時期は下今市を出発するのが日没とほぼ同じ時間だ。事前に計画的に行動するならば、日のあるうちの列車は撮影をして、日没後の列車には乗ってみるというのも楽しそうだ。次はそうしてみようと私も思う。

けれど、当日に思いついたときにはすでにSL座席指定券は完売していたのだった。そうなれば、せっかく鬼怒川線に来ているのだし夜汽車を撮りたい。そして寒いし空腹で、コンビニではないところでなにか食べ物がほしかった。そこで、列車に乗って移動をすることにして、迷った挙句に鬼怒川温泉にやって来た。下今市と鬼怒川温泉にはそれぞれに転車台があるからだ。


■あたりが暗くなってしばし待つと
鬼怒川温泉駅前の転車台には、C11207号機が転車台に乗る時間も表示してあった。ねらっているSL「大樹」5号の鬼怒川温泉到着時間は17:08で、いちど下り方にC11は行き、転線して上り方に動いてから、駅前の転車台にやってくる。その時刻は17時25分ごろとあった。私が着いたのは16時半ごろだったので、そんな時間から転車台の前にいるのは同業者と思しき数人だ。転車台の周囲のキャパシティは広いとはいえ三脚を立てるために16時半から待ち続けた。

そうしているあいだにあたりはどんどん暗くなり、オレンジ色の構内灯の明かりがよく見えるように。それを待っていたのだ。ホワイトバランスはあえて「晴天」のままにして、このオレンジの明かりを活かすことにする。

17:08に定刻通りにSL「大樹」5号が駅に到着した。ホームに青い14系客車とオレンジのDE10が見えて、国鉄の駅のようでおもしろい。そうしてC11は汽笛を鳴らしながら機回しをはじめて、しずしずと転車台にやってきた。アナウンスもあるので転車台の回りには観光客のみなさんと鉄のみなさんも集合した。やはり早めに来て貼りついておいてよかった。



■じっくり観察できる
鉄道車両に限らないけれど、昼間の太陽光の下で見るのと夜の人工灯の下で見るのでは被写体の雰囲気は大きく変わる。小柄なC11も構内灯に照らされているようすは力強く見えるものだと感心する。JR西日本三次駅から移設された転車台もきれいに整備され、その上に乗るC11の雰囲気はとてもよかった。以前、秩父鉄道広瀬川原車両基地で行われた夜の撮影会の予行演習にたまたま遭遇したことがあり、それ以来夜の蒸気機関車を見る機会をうかがっていた私は、夜の転車台にいるC11を見ることができただけでもおおいに満足した。

転車台で向きを変えたC11は駅構内に戻りしばし停車する。転車台のそばにいた鉄のみなさんはすぐさまそちらへ向かった。そういうことがあるのかもしれない……とちらりとは予想していたけれど、C11は撮影しやすい位置に停車するとは思っていなかったので、これはうれしい。どうも事前に知っていた人たちはこの場所で待っていたようだ。そして、こういうふうに撮影しやすいところに停車するように配慮してくれているところにも、東武鉄道の中の人たちには頭が下がる。


■下今市もよさそう
朝いちばんからずっと貼りついていた私はこのあたりで自分の集中力が切れてしまったので、C11+ヨが14系客車と連結するまえに撮影をやめて眺めるだけにとどめた。SL「大樹」6号の座席指定券を用意しておき、連結シーンを眺めてから乗車し、さらに下今市でもねらうというのもよさそうだ(「日光の手前だからイマイチ」だなんてもう誰にも言わせないからね!)。下今市には機関庫も資料室もあるようだし、上り方面へ戻る列車も増えるからなにかと便利だろう。夏場であれば夕方の走りも撮れるはずだ。

そして、完全に私にとって「アウェー」だった東武鬼怒川線もこうして少しようすを知ることができたので、これからも通ってみたい。そう思わせる魅力が沿線や車両にあったというわけ。そして、今度は乗ってみようっと思う。14系客車(14系座席車。14系客車でもブルートレイン用の寝台車と区別して「14系ハザ」という言い方があった。これももはやなつかしい)に乗ったことは思えばまだないと思うから。

【撮影データ】
Nikon D850/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/RAW/Adobe Camera Raw/Adobe Photoshop CC 2018