2016年7月13日水曜日

【LUMIX GX7 Mark II 関連記事】LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S.で日々の暮らしを撮る




■85mmがうまく使いこなせなかった
かしむかし、おそらくは中高生だったころ。35mm判換算で焦点距離が85mmから105mm程度の中望遠レンズとよばれる焦点距離をうまく扱うのが、筆者には本当に苦手だった。より正確にいうと「なんとなく絵にできてしまい、そのくせたいしておもしろみがない感じ」がいやだった。適度な遠近感があり、対象をゆがませないですむ。けれど、それ以外の絵作りをしにくい焦点距離であるといっていいだろうか。

カメラ誌やメーカーカタログをひもとけば、お約束のように「中望遠レンズは人物撮影に最適」とある。とはいえ、自分で人物を撮るさいに85mmを使ってみたものの、ありきたりにしか撮れない気がして、やはりなんとももどかしい思いがした。どうしても自分が使うと「宣材写真」みたいに仕上げてしまうのだ。


■はじめて買った単焦点レンズが85mmだったのに
中望遠レンズへの複雑な愛憎めいた感情があるのは、じつをいうと、筆者がいちばんさいしょに自分で購入した単焦点レンズはその85mmだったから。それだからこそうまく使いたいと思ったのに、どうにも扱いきれないでいて、得られる絵になんともおもしろみがない感じがすることにがっかりさせられた。望遠効果としては85mmはマイルドでもの足りず、そのくせマクロレンズほどに近接できないことも不満だった。

いま思えば、たんに対象を見てどう切り撮ると絵になるかという「絵心」が自分にまだ足りなかったのだろうと思う。そういうと、まるで、いまは絵心をじゅうぶん持っているかのような口ぶりだが。あるいは、人物を撮るのでも、そもそも異性どころか人間(被写体)をよく観察できてさえいなかったにちがいない。中望遠レンズをうまく使うために要求されるのは、画面に被写体全体を入れることではなく、適度に切り取ること。この感覚がまだ足りなかった。

それに、高梨豊さんが言ったとされる、若いうちのほうが広角レンズの遠近感をおもしろく感じる、ということももちろんありそうだ。

大学生になったころに35mmと50mm、そして28mmを手に入れてみて、85mmよりも自分には自由に写せる気がした。だから、そのときの自分の好みは85mmではたまたまなかった、ということにつきる。50mmは気をつけないと被写体をゆがませてしまう。けれどそのゆがみを含めて、被写体への距離感も85mmよりも近接しやすくて好きだった。

ともあれ、その中学生の頃に苦手だった85mmレンズはずっと所有しつつ、なんだかうまいぐあいに写せないなあ、と思っていたので、ずっと死蔵していた。昨年までは。




■ひさしぶりに使ったら……85mmが楽しい
そう、あれは昨年のこと。『ぼろフォト解決シリーズ060 Nikon Df 脱・初心者マニュアル』というKindle本を制作するためにNikon Dfを使った際に思い出して85mmのレンズを装着してファインダーを覗いてみると、あれれれれ、なんだかしっくりきちゃうぞ。しっくりきちゃいけないみたいな言い方だ。おやおや、いいじゃないの。と思わされてとてもおどろいた。むしろ、あんなに好きだった50mmや35mmレンズを水平に構えないとゆがみ方が気になるようにさえなった。

人間の好みなんていいかげんなものだなあ、とあきれもする。同時に、きっとおじさんになって「画面をなるべく単純にしたい」と思うようになったのかなあ、とも。思えば、ここ10年はなにかとAPS-Cサイズフォーマットボディ(ニコンDXフォーマットのデジタル一眼レフボディ)に50mmレンズをしばしば装着して35mm判換算の75mm相当で撮ることが多かった。きっと、知らず知らずのうちに「中望遠レンズ」的な焦点距離で被写体を切り取って写す訓練をしていたのだ。おじさんは必然的に中望遠レンズへの苦手意識を克服しようとしていたのです。私は執念深い。「意外な努力家」だと思いたい、自分では。

まあね。若いうちに中望遠レンズで撮るのがうまいのはあまりよろしくないのかもよ、きっと。というのは、きれいに撮れていても対象をよく観察してうまく切り取らないと絵におもしろみが出せないから。若者は広角レンズで被写体に臆すことなく近寄ってくれたまえ。近寄ってもゆがみが気にならないような、人物であれば相手にきらわれないですむ距離感を見つけるといいんだ。

■LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S.にぞっこん
さて、昨年発売されたLUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S.はたまたま昨年使用した際にとても印象に残ったレンズだった。使用したのが上記のように「85mmの焦点距離はなかなかいいぞ」と思わされた直後であったことも、好印象になおのことつながったにちがいない。比較的細身で軽く、ぼけを大きくできるし美しい。使用した際のボディがLUMIX DMC-G7であり軽快に撮影できたことも、さらに気に入った理由のはずだ。そこで、さきごろ入手したGX7 Mark IIのお供として我が家に来てもらって……もはやLUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S.ばかり使っている。ボディとのバランスもいいし、最短撮影距離31cmというのも便利なのだ。F1.7にして近接すれば大きくぼかせるし。いやあ、おもしろいおもしろい。

【共通データ】Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S./Adone Photoshop CC/Google Nik Analog Efex 2(画面周辺部をぼかして光量を落としています)

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